次男ひとでくんを産みまして
家族が4人になりました。
新メンバー、名前はひとでです。
生後1か月が経過して、にんじんのような脛に油性ペンででかでかと書かれた私のフルネームはようやく消えてなくなった。
病院での間違い防止のため書かれたこの文字が日に日に薄くなる様子は、かつて私の一部であった人が離れ独立した人間として生きていくことを表しているようであった。
また1人、この世に人を産み出してしまったのだな…。ごくり。
どうかどうか、生まれて良かったと思える人生になりますように。
前回同様断っておきますと、ありがたいことに妊娠中から大きなトラブルのないいわゆる安産でした。よく言われるように出産のダメージを交通事故にたとえるならおそらく軽傷ですが、自分にとっての一大イベントなのでやっぱり書いときます。
▼ちなみに入院中に長男出産の記録を読み返していたところ、まさかの出生体重間違えて書いててびっくりしたよね。私以外にとっては知ったこっちゃないだろうけど。
陣痛きたかも2
9月15日朝6時半ごろ、ずーんとした腹痛で目覚める。腰のあたりが痛い。え、ちょっと待って。ミスドの期間限定ドーナツも、スタバの期間限定フラペチーノもマックの月見バーガーも食べてよしあとは産むだけだと思っていたけれどもさ、やっぱりまだ心の準備がさ…!
予定日は26日。2人目は早いとは聞くけれど思った以上だ。20日を目標にしていたんだけどなあ(2020.9.20てキリがいいし)。のんきに夜中2時くらいまでお絵かきしてたよ。
うそうそ〜と思いつつ久々にアプリ「陣痛きたかも」を起動。長男の時の奮闘ぶりを見てなつかしく…思う暇もない。あれ、痛みの間隔5分きってるじゃないか。
産院に電話。食べ物など持って向かってくださいとのこと。夫、一階にいる母に連絡。
予定より早く実家に帰っていて本当に助かった。
正直いざ陣痛きても波が去った隙にいろいろ準備できるっしょと高を括っていた。でもいきなり間隔が狭くて、何もできないうちに次の波がやってくる。くそー!くやしい。
バッグに最低限のものは詰め込んであったのでよかった。
ほんと当たり前だけど、備えって大事!!!
ちょっときらきらした新しい靴下を履いて出発。せめてものテンアゲアイテムとして買っておいたんだけど結構おすすめ。
産みます
産院の受付に着いた頃は支えなしで立てない痛み。母と長男とは入口でお別れ。今回は陣痛室を経ずに分娩室へ向かった。「マスク必須ですか?」と聞いたら、「そうなんですよー」と当然のように返される。
まじか。そんな病院もあるらしいとは聞いてたけど、マスク分娩、まじなのか。
子宮口は、すでに7センチ開いていた。
「ご主人は?」と聞かれ、「出社して引き継ぎしてから来るそうです…」と答えると、「それじゃ間に合わないかも!!」との話。
わー!引き返してもらうよう電話。
ちなみに立ち合い出産は中止されていたが9月から条件付きで再開していた。
まだ胎動を感じる。しゃっくりかな?
「8時32分でーーす!!」と聞こえた。
隣のひと産まれたんだー!おーおーおめでとうございます!!!
私はといえば腕に止まった蚊を仕留めることに成功。看護師さんに報告したらまだ余裕ありそうだね、と言われる。
家族のグループLINEで姉が安産祈願で画質の粗いタツノオトシゴ画像を送ってくれる。
タツノオトシゴってオスが稚魚を産むのか…知らなかった。
などと思っている余裕はなくなっていく。
前回厳しめのおばさんに痛みに集中するなと怒られ鍛えられたので、冷静さを保つために痛い間数を数えることにした。
いーち、にーい、さーん…
点滴の棒を握りしめて数えた。だいたい15まで数えると痛みは去ったので、15を目標に耐えた。
しかしいったいな。全力で腰をつねる。
「トイレで出したい感じになったら教えてね」と言われしばし放置される。
お。明らかに痛みの種類が変わってきた。
あー!これこれ!出したいっていうか勝手に押し出そうと力が入っちゃうやつだ!
ナースコールをして、その後は言われるがままひたすら息を吐き出す。
ふー!ふー!ふー!ふー!
じょぼ、、と破水。生温かい。
いちばん痛いとこでいきんでいいよと言われる。
おへそを見て、
ふー!ふー!ふー!
吸って、止めて、いきむ!
「上手!」という言葉を励みにがんばる。もっとほめてくれ!
このあたりには夫も来ていたんだったかな?もはや覚えてない。とにかく無事間に合いました。
最後はいきまず、はー!と息を吐き出すのみ。
出かかってるっぽいとこ、いででででででー!!!はやく出てきてーー!
AM9:47 生まれました。
3658g 52cmの男の子。
産みました
出し切った…!
これで私の仕事は終わった…!
というのが率直な感想でした。
新しい人、夫と私の3人で2時間過ごす。
さっきまでいなかったその人は、ツノの生えた変な帽子をかぶせられていた。
ええ、、なにお前、かわいいじゃん、、
できたてのほっぺ。
できたてのうぶげ。
できたての爪。
まっさらな尊さよ。
長男ほたての生まれたてよりよく泣いてる気がするな。ほたてとここは似てる、ここは違うなどと夫とあれこれ話す。他人から見ればどちらも似たり寄ったりのガッツ石松なんだけど。
後陣痛は鈍く痛んだが、それよりたまった血を出す為に全力でおなかを押されるの痛すぎた。分娩時間が短かったのもあり出血が若干多めだったよう。
地味に痛い産後の処置が終わり出血も落ち着き、そろりそろり分娩台からおりて車椅子に乗る。前回と同じく、誰もいなくなったおなかはズッッコーンと底抜けになっている感覚。
夫と別れて部屋に行く。
産後ハイかな
いい天気だな。
長男ほたての時は部屋に戻るともう真っ暗だしへとへとで、あとは寝るのみ!だったけど、今回はまだ昼間で明るいし今日はこれからって感じ。陣痛の時間もだいぶ短かったからわりと元気で、気分が全然違った。トイレも行けた…!(前は何も出さなくてしばらく苦しんだ)
身体は睡眠を欲しているが、産後ハイってやつなのかソワソワして寝るに寝られない。母子同室は明日から。ひとりの自由時間を満喫しなくてはもったいない!と覚醒してしまっていた。
定期的に来てくれる担当の看護師さんに「ぺろっとミルク飲んでますよ〜」と言われ、なんのこと?と思ってしまうくらいに子どもを産んだ実感がない。 へんなかんじ〜。
▼おやつの大福と栗とコアラ。おいしくいただきました。
夫に電話する。ほたてと公園にいるらしい。ビデオ通話に切り替わると、ブランコに乗るほたてのにこにこ顔が画面いっぱいに近づいては遠ざかる。
うわあああ、かわいい!!!
超かわいいなこの子…!?!
まだ離れて数時間しか経っていないのに、早くも恋しい。昨日もギャーギャー癇癪を起こされエイヤと投げとばしたくなるくらいだったのにね。
夕方になり、テレビのチャンネルをニュースからEテレに変える。部屋でひとり、おかあさんといっしょの歌を口ずさむアラサー。やっぱいつものこれが落ち着くね。子どもたちが学校に行くようになっても1人で見てる気がするな。
この日のパプリカはみんなで筋肉体操バージョン。ところどころ一緒に歌ったり踊ったりする長男ほたてが目に浮かぶ。
▼きんにくはうらぎらない!
<NHK>2020応援ソング | パプリカ「みんなで筋肉体操」バージョン | NHK
産後センチメンタル
長男ほたて出産時の入院生活とちがうのは、朝と夕方Eテレをつけていること。
そしてこの番組始まるとワンワン!て指差すよな、とか、ここを一緒に歌うよなとか、子ども向けのダンス番組で一緒に屈伸しているのを思い出すのだった。
写真共有アプリを開く。私の入院中ほたての世話をしてくれている義母が写真をアップしていた。
いつもの散歩コースにあるホームセンターで金魚の水槽を見つめているほたて、公園で他の子の砂場道具を借りて一緒に遊んでいるほたて(私のコミュ力じゃ一緒に遊べてないだろうな)、遊び疲れてソファでべろーんとお昼寝しているほたて。
楽しそうにやっている。安心した。
まだもぞもぞ動いて泣いてミルクを一生懸命飲むだけの赤子を前にして改めて思った。この2年弱、成長したな。できることがいっぱい増えたな。
でもわたしやさしくできてたかな。思い通りにならなくて強く当たりすぎてなかったかな。反省して涙が出た。
たった5日間だ。でもはじめてそれだけの期間会えなくなって、私はずっとほたてのことを心配してたけど、むしろ自分のほうがさみしくなっているかもしれないと気づいた。
君がいないことは 君がいることだなぁ
サニーデイ・サービスの『桜 super love』の一節がやたらとしみた…。
ほたてと過ごした時間は毎日積み重なって、ずいぶんと大きな存在になっていたんだな。
とにかく早く抱っこしたい。待っててね…!
帰ったら帰ったですぐイライラしちゃうのはわかってるけど、一旦こんな気持ちになったことを覚えておきたいよ。
…以上、産後のおセンチなメンタルで書いたメモより。
現在おむつ替えから全力で逃げ回る長男に案の定イライラする日々ですが、この時の感情をたまに思い出して頑張ろうと思います。
▼桜super loveは貼りつけられなかったのでかわりに。
Sunny Day Service - セツナ【Official Video】